« 2009年10月 | メイン | 2009年12月 »
2009年11月10日
綾辻行人『Another』(角川書店)
綾辻行人の久々の新作。
キャラクター、謎、真相…どれをとっても、著者の集大成的な作品に仕上がっていると思った。ストリーテラー綾辻の完全復活の作品と言えそう。
最初に本屋で見かけた時には、京極夏彦並の分厚さにビビったw(税抜き1900円という値段にもビビった)
でも実際に読んでみると、二段組ではなく一段組、中学生の一人称と言うこともあってか平易な文章で、とても読みやすい。
夜見北(よみきた)中学校の三年三組にだけ起こる、とても不条理で不可解な現象、〈死〉に近づきすぎたかのように次々起こる、三組の関係者の相次ぐ死。転校生の榊原恒一も否応なく巻き込まれていく・・・。
以下、ネタバレを含みます。未読の方は御注意下さい。
何とも言えない得体のしれない不気味さを感じさせる前半。もっとホラー色が強いかと思ったら意外とそうでもなくて、むしろ中盤以降のミステリ色に引き込まれ、一気に最後まで読まされてしまった。
著者が仕掛けたアノ真相・・・。いやーすっかり騙されました。読んでて全然気がつかなかった。
どこかのブログで「Another」は「囁きシリーズ+十角館」と評されていたのだけど、確かに十角館だった。とても的を射た評価だと思う。
本格ミステリの旗手として鳴らした著者らしく、あちこちに伏線やヒントがちりばめられている。もっとも、読んでいる最中には気がつかなくて、後から思えばそういうことかーと理解できたに過ぎないのだけど(^_^;)
そんな伏線のひとつが祖父母宅で飼われている九官鳥。あれにはまいった。後から考えるとすごい大きなヒントが、堂々と出されていたってことなんだよねえ。
考えてみるといい。年配の人がそれまで飼っていなかったペットを突然飼い始めるきっかけってものを。
そして、この物語には「結末」はあるけど「解決」はない。本格ミステリではないので論理的な解というものがないのだ。謎は謎のまま残され結果だけが提示されている。それゆえに、「Another」はあくまでも「ミステリ」ではなく「ホラー」の範疇に入る作品なのだと思う。